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プラットフォームビジネスが切り拓く新時代:業界リーダーが語る変革への挑戦と成功の条件

- 2024年12月5日
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この記事の内容は、イベントの様子をご理解いただくためのイントロダクションです。 詳細はイベントレポートに収録していますので、ぜひこちらからダウンロードください。

2024年11月13日、Mirakl株式会社は、自社主催イベント「Platform Pioneer - プラットフォーム革命の先駆者たちが集う、イノベーションの最前線とは -」を渋谷QWSにて開催しました。あらゆる業界に変革をもたらしているプラットフォームビジネスは、リテールやECの分野でも「マーケットプレイス」「リテールメディア」に代表される新たな潮流を生み出しました。

本イベントでは、プラットフォームビジネスを成功に導くイノベーションの最新事例やインサイト、またそれらを支えるMiraklのテクノロジーについて深く掘り下げます。プラットフォームビジネスに参入したり、注目すべき取り組みを始めている大手企業のDX責任者やMiraklメンバーがスピーカーとなり、プラットフォームビジネスを成功に導くイノベーションの最新事例やインサイト、またそれらを支えるMiraklのテクノロジーを語り合いました。

転換期を迎える日本企業のイノベーション戦略

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まずは、フランスからMiraklのCEO、Adrien Nussenbaumによるビデオメッセージでイベントの幕が開きました。続いて、Mirakl代表取締役社長の佐藤恭平が登壇し、キーノートスピーカーであるボストン コンサルティング グループ マネージング・ディレクター & シニア・パートナーとBCG Xの北東アジア地区リーダーを務める平井陽一朗氏を迎えました。

平井氏は「萌芽しつつある?日本大企業のイノベーション」をテーマに講演。日本の大企業の変革を阻む5つの要素(経営視点での課題)として、以下を挙げました。

  • トップ層の頻繁な人事異動、縦割り組織

  • 意思決定層のデジタルリテラシーの低さ

  • 四半期決算開示に起因する短視眼的な経営

  • 日本型CEOの低報酬、長期インセンティブ比率の低さ

  • 引退を視野に入れた経営層の逃げ切り思考

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グローバルと比較しても日本ではトップ層の頻繁な人事異動や在任期間の短さが顕著であると平井氏は指摘しました。このような状況では、デジタル化やDXなどの長期的な戦略を提案したトップが最後まで遂行できず、それがイノベーションの障壁となっていると述べました。一方で、ここ2~3年で大企業にも大きな変化の兆しが見え始めていると言及。特に生成AI分野での取り組みは実装段階に達しており、来年には実用的なサービスの登場が期待されるとの見解を示しました。

最後に平井氏は、イノベーション創出には「企画だけで終わらせず何度も打席に立ち、挑戦すること」が重要だと強調。一つの目標に向かって10年以上の長い期間を覚悟してやりきること、それを支援する体制づくり、そして自社リソースだけでなく外部の力を積極的に取り入れることの重要性を述べ、講演を締めくくりました。

「場」から「市」へ 次世代プラットフォームが創る新たな顧客価値

キーノートに続くMirakl Sessionでは、「未来を創るプラットフォームビジネス ~企業の新たな競争力へ~」と題し、Miraklの導入事例を紹介しました。

まず、グローバルにおけるEC市場とプラットフォームビジネスの変化について佐藤が解説。日本のEC市場は着実な成長を続け、顧客の購入プロセスにおける選択肢も多様化していることから、購買体験の重要性が一層高まっていると指摘しました。

統計データによると、顧客の購買意思決定に最も大きな影響を与えるのは「品揃え」だと明らかになっています。佐藤は、スマートウォッチが「時間を見る道具」から多様な付加価値を持つデバイスへと進化したように、ECも「商取引の場」から「価値創造の市」、すなわちプラットフォームへと進化しており、新たな価値創造の可能性が重要になると説明しました。

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ここで、特別ゲストスピーカーとして、自社ECサイトにMiraklを導入中のサツドラホールディングス株式会社・執行役員 事業戦略本部 本部長の大井拓人氏が登壇。サッポロドラッグストア(以下、サツドラ)の取り組みについて講演しました。

北海道を地盤とするサツドラは、地方部の人口減少が進む中(道内市町村の50.3%が2025年に5,000人未満になると予測)、中期経営計画で「地域の生活総合グループへの進化」を掲げ、経済的利益と社会的価値の両立を目指しています。

サツドラリテール事業は売上高941億円、年間3,300万件のトランザクションを誇り、特に高い会員比率が特徴です。この会員基盤を活かし、同社はMiraklとともにOMO事業開発に取り組んでいます。会員アプリを中心としたデジタルマーケティングは、開始からわずか3年で70万ダウンロードを達成。アプリでは短期特売やチラシの最適化に加え、「地域コネクティッドプラットフォーム」の構築を目指し、地域特化型ECの展開を計画しています。

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2025年開設予定のサツドラ公式オンラインショップでは、時間的・利便的価値の提供はもちろん、離島などの“買い物難民”の方々の「お手頃な価格の品の買い回りを楽しみたい」というニーズにも応えていく方針です。さらに、地産地消商品から「北海道民が選ぶNo.1商品」を継続的に生み出し、道外・海外へ展開できる「地域プラットフォーム」の構築を目指しています。

大井氏のスピーチを受け、世界のプラットフォーム市場の現状を佐藤が解説しました。データによると、コロナ禍で成長したプラットフォーム型ビジネスは2021年に一時的な調整期を経た後、再び成長軌道に。特に「マーケットプレイス&ドロップシップ型EC」が「自社EC」を上回る成長を見せています。このような成長市場を支えるMiraklのソリューションは、現在45か国で展開され、導入企業450社、セラー数10万社以上、流通総額86億米ドルという実績を達成しています。

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続いて、Miraklの製品開発メンバーによるプレゼンテーションへ。シニアビジネスコンサルタントの内藤誓力良、フランス本社からCTOのNagi Letaifa、Senior AI Data Science Managerの髙瀬礼美が登壇し、Mirakl製品の最新機能を紹介しました。

  • Mirakl Platform:業界をリードするマーケットプレイスとドロップシップのソリューション。バックエンドシステム、ECのフロントシステム、セラーシステムをAPIで迅速かつ柔軟に連携可能です。


  • Mirakl Connect:世界中の優良セラー1.3万社が集う高品質のエコシステム。Mirakl Platformとつなぐことで、無料でオペレーターを接続し、両社の合意に基づいてセラーの商品の在庫情報や価格情報を連携する機能を持っています。


  • Mirakl Catalog Platform:生成AIを活用したカタログデータ管理ソリューション。データフォーマットの違いや、データの欠落などの要因で統合・管理が難しかったカタログデータを、AI搭載のプラットフォームでセラーと連携し、商品データの収集を効率化します。

  • Mirakl Ads:プラットフォームに最適なリテールメディアソリューション。既存のセラーに加えて、ブランド、代理店がECサイト上で簡単に広告出稿できるセルフサービスのソリューションです。プラットフォームを活用することで、新しい収益源を生むことが可能になります。

「転換」が新たな価値を生む 小売業界が挑むプラットフォーム変革

そして、パネルディスカッション「企業がプラットフォームビジネスを始めるために必要な3つのポイント」では、イオン株式会社 DX推進担当 菓子豊文氏、株式会社阪急阪神百貨店 執行役員 オンラインコマース事業部担当 敷島孝司氏、株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役 ECアナリスト 本谷知彦氏の3人がパネリストとして登壇しました。Mirakl代表の佐藤がモデレーターを務め、プラットフォームビジネスにおける課題と重要なポイントについて議論が交わされました。

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佐藤は議論の軸として、以下3つの問いを提示しました。

  1. Why - なぜプラットフォームビジネス?

  2. What - どのようなビジネスバリューを期待する?

  3. How - どのように取り組む?

この3つの問いかけに対して、どのような議論がされたのでしょうか。それぞれのテーマについて、順を追って見ていきましょう。

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